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著作権判例セレクション

11412項の意義と解釈
▶平成200226日東京地方裁判所[平成19()15231]
2 争点()(損害の額)について
() 原告は,114条1項ないしその類推適用により,本件著作物の公衆送信が公衆によって受信されることにより作成された複製物それぞれ1万7000部に,原告が,被告による侵害行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益50円を乗じた額である340万円の損害賠償を請求できると主張する。しかし,114条1項による損害額の推定は,権利者自らその著作物を販売することができたであろうということが前提となっていると解され,そして,本件著作物は,いずれも週刊誌に掲載された記事であり,原告はこれを自ら販売していないのであるから,同項の適用はないというべきである。
() また,原告は,被告が,本件著作物の公衆送信により,本件著作物の掲載された「週刊現代」の購入を免れたので,本件著作物それぞれ1部当たり少なくとも50円の利益を得ているとして,114条2項により340万円の損害賠償を請求できるとも主張する。しかし,同項による損害額の推定も,権利者自らがその著作物を販売できたであろうということが前提となっているものであるから,上記のとおり,原告が本件著作物を自ら販売していない本件においては,同項の適用もないというべきである。
() そこで,114条3項の使用料相当額の損害について判断する。
(以下略)