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著作権判例セレクション
設計図に従って工業製品を製造することは著作権を侵害するか
▶平成23年03月02日東京地方裁判所[平成19(ワ)31965]▶平成23年11月28日知的財産高等裁判所[平成23(ネ)10033]
(2)
重畳適用される日本法上,不法といえるか。
前記のとおり,不法行為に基づく損害賠償請求が認められるためには,設計図から工業製品を製造する行為が日本法上不法であることが必要である。
そして,日本の著作権法上,複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいう(2条1項15号)ところ,設計図から製品を製造することが,既存の著作物を有形的に再製するものということはできないから,複製に該当すると認めることはできない。
また,日本の著作権法上,翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的特徴を直接感得することができる別の著作物を創作する行為(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決参照)をいうところ,被告各商品のような工業製品は,著作物として保護されるものではないから,設計図に従って工業製品を製造することは,翻案権侵害に該当するということはできない。
[控訴審同旨]