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著作権判例セレクション
実績紹介としての写真使用につき、その黙示の許諾を否定した事例/デザイン会社の代表取締役の責任(会社法429条1項)を認定した事例
▶令和5年5月18日東京地方裁判所[令和3(ワ)20472]▶令和7年5月14日知的財産高等裁判所[令和5(ネ)10067]
(注) 原告は、別紙の各写真(以下、併せて「本件各写真」という。)の著作権(「本件著作権」)を有する写真家である。本件は、原告が、被告会社においてそのウェブページ(「本件ウェブページ」)上に本件各写真を掲載した行為が、本件著作権に係る公衆送信権侵害を構成すると主張して、被告らに対し、連帯して、被告会社については、民法709条及び著作権法114条3項に基づき、損害賠償金等の支払を、被告会社の代表取締役である被告Bについては、会社法429条1項に基づき、上記損害賠償金等の支払を、それぞれ求めた事案である。なお、争点整理の結果、原告主張に係る公衆送信権侵害の期間は、平成19年3月から平成26年8月までに限るものと整理された。
【2】 争点1(承諾の成否)について
被告らは、本件各写真の高額な許諾料に鑑みれば、原告が被告会社に対し本件各写真の利用を許諾する契約(以下「本件契約」という。)には、実績紹介等のための利用を許諾する旨の合意(以下「本件合意」という。)が含まれていたと主張する。
そこで検討するに、原告が被告会社との間で本件契約を締結するに当たり、契約書を作成しなかったことは、当事者間に争いがない。そして、原告は、本件合意があったことを否定しているところ、本件契約に関して、原告と被告会社間のやり取りなど本件合意がうかがわれるような書面等は存在せず、被告らの主張を前提としても、上記合意がされた経緯、時期、場所【、具体的に、何を、どこにどのような形で、いつまで掲載するのかといった条件】その他の事情は、具体的には明らかにされていない。のみならず、証拠及び弁論の全趣旨によれば、別の会社に対して本件写真1の利用を許諾した際は、これに関する契約書が作成されているところ、当該契約書における本件写真1の許諾料は、本件契約における許諾料と同等のものであるのに、実績紹介等のための利用を許諾する旨の合意は存在しなかったことが認められる。
【加えて、前記のとおり、『幻視』に収録された写真は、既に全国紙の全面広告への掲載を含む複数の広告に使用された実績があり、一審原告において、実績紹介等のために一審被告らの無償での利用を許諾する動機にも乏しく、そもそも、前記のとおり具体的な掲載条件が全く明らかでないのに、白紙委任するような形での掲載(利用)を合意することは想定し難い。】
これらの事情の下においては、本件合意があったことを裏付けるに的確な証拠はなく、本件契約と同種の別件契約の内容に照らしても、本件合意があったものと認めるのは相当ではない。したがって、被告らの主張は、採用することができない。
(2) これに対し、被告らは、写真家等のクリエイターにとっても、実績紹介として写真等が使用されることにはメリットがあることなどから、広告デザイン業界においては、このような実績紹介として写真等を使用する場合には、クリエイターに利用許諾を求めない慣行が存在する旨主張する。
そこで検討するに、証拠及び弁論の全趣旨によれば、被告会社は、本件各写真のデジタルデータに「透かし」を入れ又は写真家の名前を浮き彫りにするなどの無断複製防止措置をせずに、本件ウェブページに上記デジタルデータを掲載したものと認められるところ、同デジタルデータは、グーグルの検索サイトの画像欄その他のインターネット上に、原告の名前が付されずに広く複製等されるに至ったことが認められる。そして、証拠及び弁論の全趣旨によれば、実績紹介での利用につき、デザインも含めての掲載であれば格別、画像を抜き出して利用することは許容されず、また、ウェブページにおいて、PDFを閲覧できたりダウンロードできたりする場合はライセンス料金が発生する旨注意喚起するフォトエージェンシーが存在することが認められる。
【加えて、前記のとおり、本件ウェブページは、一審被告Yの作品を紹介する部分に掲載されているものであって、そもそも写真家等のクリエイターの『実績紹介』であるとは認め難いものであるほか、写真に添えられた説明文も、『JT『SAKURA』は具象的な桜のイメージを用いないで、見る人の思いの中にある桜のイメージを受け止める『器』になるような、エンプティなデザインを意識しています。・・・開封すると桜の花が『絞り』の柄で刷られた半透明な内包紙が現れます。冊子は初期導入時に用いられたSPツール(判決注:販売促進ツール)で煙草がおいしそうに喫われる情景を昭和初期の文士の世界に託して描いたフィクションです。』などとして、JTの商品である『SAKURA』の説明や一審被告Yの小冊子作成に当たってのコンセプトの説明に終始しており、一審被告Yが写真を含め本件小冊子には一審原告の写真集『幻視』の世界観を利用するとしたこと(一審被告Y本人)などについての説明は一切ない。そうすると、本件ウェブページの掲載は、一審被告会社がJTの商品のプロモーションに関与したことや、一審被告Yが実質的にプロデュースして本件小冊子を作成したことについての紹介にはなっても、写真家等にとって実績紹介としてのメリットがあるものと直ちには認め難い内容のものとなっている(なお、一審被告らは、適法引用に係る主張においては、本件ウェブページへの掲載がデザイン会社の実績紹介目的である旨を強調し、言葉による説明のみでは実績紹介の目的を全うしないから、写真について相応のサイズ、画質において閲覧可能とする必要があるとする。)。以上によれば、『P.』として一審原告の氏名が記載されてはいるものの、本件ウェブページに掲載されたものが、写真家等にとっても、その実績紹介としての掲載になっているものとは認められないというべきである。】
これらの事情を踏まえると、少なくとも、被告会社が無断複製防止措置なく本件各写真のデジタルデータを掲載するような態様についてまで、クリエターに利用許諾を求めない慣行が存在するものと認めることはできない。
したがって、被告らの主張は、採用することができない。
【3】争点2(引用の成否)について
(略)
【4】争点3(消滅時効の成否)について
消滅時効の成否
【(1)】 被告らは、①被告会社による本件各写真の使用行為は、平成19年から平成30年に至る一連のものとして評価されるべきであり、原告が、本件通知書1を送付した平成30年2月6日時点において、本件ウェブページ上で本件各写真が使用されていることを認識していた以上、平成19年以降の一連の使用行為について、当該時点から消滅時効が起算されるべきである、②原告は、本件通知書2を作成した平成30年5月時点において、少なくとも平成23年10月以降における本件各写真の使用を現実に認識している上、そもそも本件プロジェクトが平成17年2月であったことに照らせば、権利侵害の始期を平成17年2月以降と特定して権利行使することは可能であった、③原告が本件各写真の本件ウェブページへの掲載を認識した時期が、被告らの消滅時効の主張を受けて変遷した上、原告自身が提出した証拠によれば、原告は、平成31年1月時点で、平成26年8月以前の掲載についても認識していたことが認められることなどからすれば、原告は、平成30年2月に本件通知書1を送付した時点において、平成19年以降の全ての使用の事実を把握していたといえると主張する。
【(2)】そこで検討するに、民法724条(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)にいう「損害及び加害者を知った時」とは、被害者において、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度にこれらを知った時を意味し、同条にいう被害者が損害を知った時とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいうと解すべきである(最高裁平成14年1月29日第三小法廷判決参照)。
これを本件についてみると、上記認定事実によれば、原告は、平成30年3月26日付けの本件回答書によって、本件写真1及び2が平成26年10月1日から平成30年2月14日まで本件ウェブページに掲載されていたことを認識したことが認められるものの、本件通知書1における被告会社への質問内容及び本件回答書の内容を踏まえると、被告会社が上記の限度で掲載内容を回答している以上、その他の写真の掲載の有無や、本件写真1及び2の上記期間以外の掲載の有無については、原告は本件回答書を受領した時点において認識していなかったと認めるのが相当である
また、【上記1の認定事実】によれば、原告は、本件通知書2の作成時点である平成30年5月28日時点において、遅くとも平成23年10月9日以降、本件各写真が本件ウェブページに掲載されていた可能性が高いことを認識していたことまでは認められるものの、本件通知書2において、本件各写真が平成23年10月9日時点で掲載されていた旨指摘されているのは、中国語のウェブページであって本件ウェブページではなく、現に、原告は、本件通知書2において、「同様の写真を掲載していた可能性が高い」と記載して、被告会社に対し、調査の上回答を求めているのであるから、原告が、上記時点において本件ウェブページにも本件各写真が掲載されていたことを現実に認識していたものとはいえない。その他に、原告において、本件ウェブページへの掲載開始時期が本件プロジェクトの時期である平成17年2月であると認識できたことを認めるに足りる証拠はなく、この点に関する被告らの主張は、裏付けを欠くものといえる。
さらに、被告らが指摘する原告の主張の経緯等を踏まえても、上記認定に係る本件通知書1、本件回答書及び本件通知書2の送付及び受領状況を踏まえると、原告が、本件通知書1を送付した時点で、既に平成19年3月から平成26年8月までの本件ウェブページにおける本件各写真の掲載を現実に認識していたものと認めるに足りない。
したがって、被告らの主張は、いずれも採用することができない。
【(3)】 以上によれば、原告が、平成19年3月から平成26年8月までの本件各写真の本件ウェブページへの掲載について、平成30年2月時点で認識したものと認めることはできず、消滅時効が完成するものと認めることはできない。
【5】争点4(取締役の責任の有無)について
前記前提事実及び前記認定事実によれば、被告会社は、デザインの企画・制作等を目的とする株式会社であり、日本たばこ産業株式会社から受託された「さくら」の小冊子を作成するために、原告から、本件各写真の利用許諾を受けたのであるから、その代表取締役である被告Bは、その職務上、原告に対し、前記認定に係る態様で本件各写真を本件ウェブページに掲載することができるかどうかを確認すべき注意義務があったものといえる。
しかるに、被告Bは、原告に容易に確認できるにもかかわらずこれを怠り、本件各写真のデジタルデータに複製防止措置を何ら執ることなく、漫然と約7年間も本件ウェブページに継続して違法に掲載し、その結果、本件各写真のデジタルデータがインターネット上に原告名が付されることなく相当広く複製等されたことが認められる。
これらの事情を踏まえると、被告Bに少なくとも重過失があったことは明らかであり、著作権の重要性を看過するものとして、その責任は重大である。
これに対し、被告Bは、本件各写真を本件ウェブページに掲載した平成19年当時、知的財産権を保護する体制の構築を主たる職務としていなかったし、当時から現在に至るまで、知的財産権の侵害を防止するための社内体制を講じてきたことなどからすれば、被告Bの職務遂行に悪意又は重過失はないと主張する。
しかしながら、被告Bが、本件ウェブページ掲載当時に知的財産権保護体制の構築を主たる職務としていなかったとしても、デザイン制作等を目的とする株式会社において、デザイン制作等に当たり著作権、肖像権その他の知的財産権を侵害しないようにする措置を十分に執ることは、取締役の基本的な任務であるといえるから、被告Bの主張を十分に踏まえても、被告Bの責任は免れない。また、原告に何ら確認することなく、本件各写真のデジタルデータが複製防止措置を何ら執られることなく本件ウェブページに7年以上も漫然と掲載されていた事情等を踏まえると、被告Bの主張立証等を十分に斟酌しても、知的財産権の侵害を防止するための社内体制が不十分であったとの誹りを、免れることはできない。
したがって、被告Bの主張は、採用することができない。
【6】争点5(損害額)について
⑴ 証拠及び弁論の全趣旨によれば、ウェブページにおいて広告として写真等を使用する場合、当該使用料は、使用期間が長期になるに従って1年当たりの料金が逓減し、使用期間が5年ないし10年の場合における1年当たりの使用料は、使用期間が1年の場合の3割程度の金額となるものと認められる。そして、写真を【特定の商品の宣伝広告に用いるというような典型的な】商業目的で使用する場合と、実績紹介として使用する場合とでは、使用目的、使用態様その他取引の実情に照らし、その使用料は大幅に異なるものと認めるが相当であり、その他の本件に現れた事情も斟酌すると、本件契約の使用料の1割をもって、本件ウェブページの掲載につき支払うべき金銭の額に相当する額というべきである。
そうすると、弁論の全趣旨によれば本件契約に係る460万円の使用料は本件プロジェクト期間の1クール(3か月)に対するものと認めるのが相当であるから、本件各写真の本件ウェブページの掲載につき原告が受けるべき金額は、1年当たりの商業目的の使用料1840万円(460万円×4)に、掲載期間7.5年(平成19年3月から平成26年8月まで)を乗じ、更に長期逓減率である3割を乗じた上で、実績紹介としての目的であることを考慮してその1割を乗じた金額とするのが相当である。
したがって、損害額は、次の計算式のとおり、414万円になるものと認められる。
(計算式)1840万円×7.5年×30%×10%=414万円
⑵ これに対し、被告らは、本件各写真が本件ウェブページに掲載されることは、原告のメリットにこそなれ、原告が取引機会を失うことは到底考えられないから、原告には何ら経済的な損害は生じていないと主張する。
しかしながら、本件ウェブページに掲載された本件各写真のデジタルデータは、無断複製防止措置がされずインターネット上に相当広く複製等されていることは、前記において認定したとおりである。そうすると、被告らの主張は、上記認定に係る原告に及ぼす影響を看過するものであり、上記判断を左右するに至らない。したがって、被告らの主張は、採用することができない。
【7】その他
その他に、被告らの準備書面及び提出証拠を改めて検討しても、被告らの主張は、独立鑑賞の対象となる本件各写真の掲載態様等のほか、本件ウェブページに本件各写真のデジタルデータを無断複製防止措置なく約7年間掲載したことの影響等を看過するものであり、被告ら主張に係る諸事情を十分に考慮しても、上記判断を左右するに至らない。したがって、被告らの主張は、いずれも採用することができない
[控訴審同旨]
1 当裁判所も、一審原告の請求については、原判決が認容した限度で理由があり、その余は理由がないものと判断する。その理由は、当審における人証調べ(証人A、証人B、一審原告本人、及び、一審被告会社代表者兼一審被告Y本人)の結果及び当事者双方の主な補充主張も踏まえ、次のとおり補正し、後記2のとおり当審における当事者双方の主な補充主張に対する判断を、後記3のとおり当審における一審被告らの追加主張に対する判断をそれぞれ付加するほかは、原判決…に記載のとおりであるから、これを引用する。
(略)
2 当審における当事者双方の主な補充主張に対する判断
⑴ 承諾の成否(争点1)について
一審被告らは、前記〔一審被告らの主張〕のとおり、広告実績紹介についての一審原告の承諾があった旨を主張する。
しかし、補正の上で引用した原判決のとおりであり、実績紹介等のための利用の許諾の合意(本件合意)があった旨は認められないというべきである。一審被告らは、当時の業界慣行や、一審原告と一審被告らとの良好な関係性、一審原告が長期間にわたって異議を述べていないこと等に鑑みれば、本件合意があったことが強く推認される旨等を主張するところ、全国紙の全面広告への掲載を含む複数の広告に使用された実績があるものを含む本件各写真について、具体的な掲載条件も明らかでなく白紙委任するような形で掲載を合意することはそもそも想定し難いし、一審被告らの主張するように、当時においては複製防止措置を講じることなくウェブページに掲載することが前提とされていたのであれば、なおさら、実績のある写真についてデジタル複製が可能な形で掲載する合意をすることは想定し難い。写真家等のクリエイターの側が積極的に掲載を希望する場合があるのは別として、そのような者が相応数いるとしても、そのことが直ちに本件合意を推認させることにはならない。加えて、後記⑶でも検討するとおり、一審原告は、一審被告らによる本件ウェブページへの掲載の事実を知りながら敢えて異議を述べなかったものと認めることもできないから、一審被告らの主張は前提を欠くものである。
したがって、一審被告らの上記主張は採用することができない。
⑵ 引用の成否(争点2)について
(略)
⑶ 消滅時効の成否(争点3)について
一審被告らは、前記〔一審被告らの主張〕のとおり、一審原告の損害賠償請求権は時効により消滅している旨を主張する。
しかし、補正の上で引用した原判決のとおりであり、乙9の添付資料の記載をもってしても、せいぜい、一審原告の認識の可能性があったといえるにとどまり、一審原告の認識時期に関する主張が直ちに虚偽のものであると認めるべき証拠もない。それに加え、一審被告会社の説明の内容や本件通知書2における一審原告の記載内容を考慮するならば、一審原告が、本件通知書1を送付した時点において、平成19年3月から平成26年8月までの本件ウェブページにおける本件各写真の掲載の事実を現実に認識していたものとは認められず、消滅時効については、これを認めることはできない。
したがって、一審被告らの上記主張は採用することができない。
⑷ 取締役の責任の有無(争点4)について
一審被告らは、前記〔一審被告らの主張〕のとおり、一審被告Yは取締役として責任を負わない旨を主張する。
しかし、補正の上で引用した原判決のとおりであるほか、既に検討したとおり、本件において、一審原告の許諾なく本件各写真を掲載することを正当化するような事情は存しない。加えて、本件各写真は、一審被告会社のウェブページにおける、一審被告Yの作品を紹介するページに掲載されていたものであり、一般的な法人の代表者が法人のウェブページの適法性について負う監視義務とは異なる面も存する。一審被告Yは、「幻視」の世界観を再現するとして自ら実質的プロデュースをした本件小冊子の紹介として、本件各写真を本件ウェブページに掲載していたものでもあるから、それこそ長期間にわたって掲載された本件ウェブページに係る権利関係の不備について、認識がなかったとすることを正当化できるものではな5 い。一審被告Yは、一審被告会社の取締役として、その責任を免れないというべきである。
したがって、一審被告らの上記主張は採用することができない。
⑸ 損害額(争点5)について
ア 一審被告らは、前記〔一審被告らの主張〕のとおり、原判決の損害額の認定は誤りである旨を主張する。
しかし、一審原告において、本件合意をした事実は認められず、一審被告らの主張は前提を欠くものであり、補正の上で引用した原判決のとおり、本件各写真がインターネット上に複製された経緯等も踏まえると、一審原告の被った損害額は414万円であると認められる。
したがって、一審被告らの上記主張は採用することができない。
イ 一審原告は、前記〔一審原告の主張〕のとおり、原判決の損害額の認定は誤りである旨を主張する。
しかし、補正の上で引用した原判決のとおり、本件ウェブページへの掲載は、本件ウェブページの置かれた場所(階層)などを考えると、一審被告らの実績紹介に係るものであることを否定できず、特定の商品の宣伝広告に用いるというような典型的な商業目的で使用するものと認めることはできない。
したがって、一審被告らの上記主張は採用することができない。
3 当審における一審被告らの追加主張(損害不発生)に対する判断
一審被告らは、前記のとおり、一審原告に損害は発生していない旨を主張する。
しかし、補正の上で引用した原判決、上記2⑸のとおり、一審原告には前記同額の損害が発生しており、損害の発生がないものとは認められない。
5 したがって、一審被告らの上記主張は採用することができない。
4 結論
以上によれば、一審原告の請求は、原判決主文第1項掲記の限度で認容すべきであり、その余は棄却すべきものであって、一審原告の控訴及び一審被告らの各控訴は、いずれも理由がない。