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著作権Q&A

{Q} 映画の著作物の権利の帰属について、教えてください。

A 承知しました。

著作権法上、「映画の著作物」の権利(著作権、著作者人格権)の帰属問題(これらの権利が誰のものになるのかという問題)は、少々複雑で面倒です。ケースを分けて解説します。
〇 ケース①(個人が会社や映画製作者にかかわらず純粋に自分だけで映画を制作した場合)
この場合、その個人が著作者となり、著作者の権利である著作権(著作財産権。以下同じ。)と著作者人格権の両方を持つことになります。
〇 ケース②(映画会社の従業員が業務の一環として映画を作成した場合)
この場合、「職務著作(法人著作)(151項参照)の要件を満たしていれば、その従業員を雇っている映画会社が著作者となり、著作権と著作者人格権の両方を持つことになります。
〇 ケース③(映画会社が外部の監督に依頼して映画を制作した場合)
特に注意して欲しいのがこのケースです。この場合、著作権は、映画の完成と同時に自動的に著作者(通常は、その監督)から映画会社に移ります(権利が移転します)(291)。そのため、映画の著作物の著作者には、著作者人格権だけが残ることになります。