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著作権Q&A
{Q} 他人の著作物をほんのちょっといじっても、同一性保持権を侵害してしますのですか?
A 同一性保持権の侵害にならない例外的な改変があります。
同一性保持権は、著作者の人格の反映である著作物(及びその題号)の同一性を積極的に保護しようとして設けられている権利(著作者人格権)です。そのため、「同一性が保持されているか否か」は、一般的に、厳格に解釈されます。したがって、「他人の著作物をほんのちょっといじっても(改変しても)」同一性保持権の侵害になるのが原則です。しかし、少しの改変を何でもかんでも同一性保持権の侵害だとしてしまうと、実際問題として不都合が生じ、ひいては、著作権法の目的の一部である「公正な利用」(1条)も達成できないことになります。そこで、法は、同一性保持権の侵害にならない一定の改変について、別途、規定を設けているのです(20条2項各号)。
ここでは、詳しい法律要件の話はせず、一般的に同一性保持権の侵害にならない例をいくつか挙げておきます。
<一般的に同一性保持権の侵害にならない例>
〇 学校の教科書に利用する歳に、常用漢字以外の漢字をひらがなに改めたり、旧仮名遣いを現代仮名遣いに改めるなどの行為。
〇 建築物の増改築や修繕、模様替えによる改変。
〇 プログラムにバグ(誤り)があるため利用できない場合にそのバグを取り除いたり、プログラムの処理速度を上げるための改変。
〇 絵画の出版にあたり印刷技術上の制約からり原画の微妙な色彩(色調)が忠実に再現できないことによる改変。