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著作権Q&A
{Q} 「レコード製作者」とは、レコード会社のことですか?
A 一般的にはそうですが、著作権法上の「レコード製作者」は、レコード会社に限りません。
著作権法上の「レコード製作者」とは、「レコードに固定されている音を最初に固定した者」のさします(2条1項6号)。
典型的には、楽曲を最初に録音した「原盤」の製作者が「レコード製作者」に当たります。したがって、誰かが最初に固定した音を増製しただけの者、例えば、原盤の提供を受けてリプレスしたに過ぎない者や「商業用レコード」(2条1項7号参照)の製作者は、「レコード製作者」ではありません。
一方、「音を最初に固定した者」は、自然人であると法人(会社など)であるとを問いません。さらに、音を固定することを業としている者である必要もありません(プロアマを問いません)。例えば、演奏会や講演会の内容をテープやレコーダー等に最初に固定(録音)した一般の聴衆も、著作権法上は、「レコード製作者」に当たります。アマチュア演奏家が自分で作曲した楽曲を自分で録音テープなどに録音すれば、そのアマチュア演奏家は、その楽曲を創作した著作者(著作権者)、その楽曲を演奏した実演家としてだけではなく、「レコード製作者」としても保護されることになるのです。
(参考)「レコード製作者」の意義に関し、ローマ条約では、「実演その他の音を最初に固定する自然人又は法人」(同条約3条(c))を意味するとしているのに対し、WIPO実演及びレコード条約では、「実演その他の音又は音を表すものを最初に固定することを主導し、かつ、それに対して責任をもつ(takes the initiative and has the responsibility for the first
fixation)自然人又は法人」(同条約2条(d))を意味するとしている点は、興味深いところです。