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著作権Q&A

{Q} 出版社には、著作隣接権はないのですか?

A わが国の制度上、出版社()に著作隣接権は認められていません。

著作者と一般大衆の間に入って、著作物を一般大衆に伝達する上で大きな役割を果たしている者に著作隣接権を認めるのであれば、出版社()や映画配給者、さらには、コンサートやイベントの興行者にも著作隣接権を与えるべきではないかという議論はあるでしょう。しかし、わが国では、現在のところ、例に挙げた3者のいずれにも著作隣接権は認められていません。もっとも、出版社()については、「出版権」(著作隣接権と同様に、排他独占的な財産権の一種です。80条等)の設定を受けることで、一定の範囲ではありますが、自身の出版行為に対して、出版権者として、相対的に(単なる出版行為の許諾を得るのに比べて)安定した地位を確保することは可能です(ある作家が大手の出版社を通して作品を世に出す場合、通例、その作家(著作権者)は大手の出版社と「出版権の設定契約」を結びます。そして、出版権の設定を受けた大手の出版社は、その限りで、自らの出版行為から一定の経済的利益を受け得る排他独占的な地位を保持することになります)