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著作権Q&A
{Q} 「公衆送信権」とはどんな権利ですか?
A 公衆送信権とは、著作権の1つで、著作物について、公衆送信を行う権利のことです。
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有します(23条1項)。「専有」というのは、他者を排して、自分だけが独占的に(権利を)有する、という意味です。つまり、公衆送信権は、著作者が原始的に有する排他独占的権利です。
「公衆送信」と、それにかかわる「放送」「有線放送」「自動公衆送信」「送信可能化」については、その各用語の意義が定義規定に定められています(2条1項7号の2、同8号、同9号の2、同9号の4、同9号の5)が、一般のみなさまには難解に感じられると思われますので、ここでは、難しい法律用語の解説は避け、具体事例を用いて要点を解説します。
「公衆送信権」は、放送や有線放送、自動公衆送信などの送信形態で、著作物を公衆向けに送信することにかかわる権利です。「放送」は、情報(送信の内容)が常に受信者の手元まで「無線で」送信されている状態で、受信者がチャンネルを合わせることで視聴できる送信形態を意味します。「有線放送」は、情報(送信の内容)が常に受信者の手元まで「有線で」送信されている状態で、受信者がチャンネルを合わせることで視聴できる送信形態を意味します。「自動公衆送信」は、インターネットのように、受信者からアクセスがあり次第、受信者がアクセスした情報だけが自動的に受信者のもとに送信される送信形態を意味します。この「自動公衆送信」には「送信可能化」が含まれるのですが、「送信可能化」とは、いわゆる情報の「アップロード」のことです。つまり、自動公衆送信の前段階(準備段階)の状態のことで、実際に自動公衆送信があったかどうかを問わず(実際に受信者への自動送信が行われていなくても)、サーバーとの関係で著作物を「自動公衆送信し得る状態に置く」ことを意味します。
以上のような、公衆送信を著作者に無断で行うと、原則として、著作権(公衆送信権)の侵害となります。
なお、例えば、学校の構内(同一構内)で、校内放送として音楽を流すことは、「公衆送信」ではなく、「演奏」に該当します(したがって、演奏権が働きます)。