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著作権Q&A
{Q} 小説を書いています。先日、それぞれ別の会社から、私のある作品の翻訳権を譲って欲しいと言われました。例えば、作品の英語版の翻訳権と、韓国語版の翻訳権を、それぞれ別の会社に譲渡することはできますか?
A 作品の英語版の翻訳権と、韓国語版の翻訳権を、それぞれ別の会社に譲渡することはできる、と考えます。
著作権は、その「一部」を譲渡することができます(61条1項)が、「一部」とはどの範囲までのものを言うのかについては、著作権法に規定がありません。また、この点に関して確定した判例もありません。そのため、実際問題として、著作権に含まれるそれぞれの支分権をどこまで細分化して譲渡できるのかについて、議論があります。一般的には、実務上(商慣習上)も別個の権利として観念されていて、そのような取り扱いをすることの妥当性や必要性が高いものについては、譲渡できると考えて差し支えないと思います。出版業界では、同じ(日本語の)作品であっても、それを特定の国語への翻訳に限定して譲渡することの必要性が実務上の要請からも高いと考えられますので、「作品の英語版の翻訳権と、韓国語版の翻訳権を、それぞれ別の会社に譲渡することはできる」と考えます。