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著作権Q&A
{Q} 著作権を譲渡するのに、「書面」は必要ですか?
A 必要ありません。
著作権の移転(譲渡)は、所有権などの移転と同様に、契約当事者の意思表示のみによって効力を生じます(民法176条)。すなわち、著作権の売買や交換、贈与、信託等の契約(譲渡契約)が成立した時点で直ちに移転するのが原則です。そのため、「書面」(譲渡証書のような契約書)の作成は、譲渡が有効であるための要件ではありません。
しかしながら、譲渡契約を巡るトラブルのうち、書面(契約書)が作成されていないことに起因するものが多いのが実情で、譲渡契約の中身についての当事者の意思が書面で確認できないことから、後日、契約の解釈等を巡って紛争が生じることが多々あります。このような事情から、実務的には、リスクマネジメント(将来の紛争の未然防止)の観点から「書面化」が有効であり、かつ、必要であることはいうまでもありません。
ちなみに、アメリカにおいては、わが国とは異なり、「著作権の移転」に「著作権者の署名の入った書面」(an
instrument in writing and signed by the copyright owner)が要求され、これがないと、著作権の移転は効力を生じないものとされています(204条(a))。