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著作権Q&A

{Q} 「頒布権」とはどんな権利ですか?

A 頒布権とは、著作権の1つで、映画の著作物を、その複製物により頒布する権利のことです。

著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有します(261)。「専有」というのは、他者を排して、自分だけが独占的に(権利を)有する、という意味です。つまり、頒布権は、著作者が原始的に有する排他独占的権利です()
() 「映画の著作物」については、その特殊性と歴史的な経緯から、「著作者」と「著作権者」とが当初から別人になる場合があります(つまり、著作者人格権と、頒布権を含めた著作権が当初から別人に帰属することになる)ので、この点は注意を要します(16条及び291項参照)

「頒布」ということばに意味については、別途定義規定(2119)が置かれていて、それによると、「頒布」とは、有償無償を問わず、複製物を公衆に「譲渡」し又は「貸与」することをいい、映画の著作物にあっては、「公衆に提示することを目的」として映画の著作物の複製物を譲渡し又は貸与することを含むとしています。つまり、著作権法上の「頒布」というのは、公衆向けの(不特定の者又は特定多数の者への)「譲渡」と「貸与」を含み、さらに、映画の著作物にあっては、譲渡や貸与の相手方が「公衆」でない場合(特定少数である場合)でも、それが「公衆向けに上映することを目的」としているときには「頒布権」が及ぶことになります。このように、映画の著作物にのみ認められている「頒布権」は、「譲渡権」(26条の2)や「貸与権」(26条の3)よりも「強力な権利」であると言うことができます。