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著作権Q&A

{Q} 小説などの原稿の買取りは、著作権の譲渡になるのですか?

A 一般的には、原稿の買取りが直ちに著作権の譲渡になるとは限りません。

当事者間で行われたその「買取り」がどのような趣旨(目的)であったのか、当事者の意思がどこにあったのかが、解釈の方向性を決めます。一般的には、小説などの原稿の買取り料は、原稿という有体物の所有権の譲渡代金であるとともに、その原稿に表現されている作品(著作物)を契約の目的を実現するために「利用」(例えば、出版)するための対価(許諾料)と考えられます。もっとも、当事者間で著作権を譲渡する意思が窺えるような時別な状況(例えば、通常の買取り料に比較して、相当に高額の対価が支払われたなど)が認められれば、買取り料が、所有権の譲渡代金であるとともに、作品(著作物)にかかる著作権の譲渡代金であると解される場合もあり得ます。同じことは、写真のネガの買取りにも当てはまります。裁判例の中には、著作権の譲渡の「黙示的な合意」を認定したものがあります。