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著作権Q&A
{Q} 気象や地震などのデータは著作物に当たりますか?
A 気象や地震などのデータは、それ自体では著作物に当たりません。そのデータを「図表」や「編集物(データベース)」に表現したものであれば、著作物として保護される可能性があります。
著作権法による保護を受けるためには、「思想又は感情」が表現されたものでなければなりません。気象や地震などに関して得られた又は集められたデータは、たとえ、そのために多額の費用や時間、人員を費やしたものであったとしても、それ自体「思想又は感情」を表現したものではありません。つまり、データ自体が思想性を帯びることはありません。そのため、これを法上の著作物に当たるとすることはできません。このことは、「〇月〇日、▽▽で××いう事象が起こった(××というデータが得られた)」という客観的な事実だけを格別の評価や意見を入れることなく,そのまま叙述するような場合も同様です(そのような記述は言語著作物とは認められません)。一方、そのよう自然科学的な客観的なデータを図表にして表現すれば、「図形著作物」の一形態として保護される可能性があります。ただし、そのようなデータを「一般的な(ありふれた)手法に基づいて表現しただけのグラフ」(例えば、データに忠実に線グラフや棒グラフに表現したもの)は、著作物性が否定されるでしょう。データを図表にするに当たって、通常よく取られる手法によることなく、例えば複雑なデータを見る人に分かりやすく伝えるための創意工夫が凝らされている図表であれば、著作物として保護されることになります。また、一定の編集方針の下でデータを選択して、それらを配列した(体系的に構成した)ものであれば、「編集著作物」ないし「データベース著作物」として保護される可能性があります。