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著作権Q&A
{Q} イラストレーターをしています。ある食品会社から私の既存の作品(イラスト)を自社の新商品に使用したいとの申し出がありました。その食品会社から、当該イラストについて著作権を譲渡して欲しい、譲渡が無理なら、著作権を共有にして欲しいといわれています。著作権を共有にした場合、著作者である私の著作権はどうなるのですか?
A 当該イラストに係るあなたの著作権は、「共有著作権」としての取扱いを受けることになります。
「共有著作権」とは、文字通り「共有に係る著作権」をいいます(65条1項かっこ書)。そして、著作権の共有とは、数人の者(今回のケースではあなたと食品会社)が共同で1つの著作権(当該イラストに係る著作権)を保有する状態をいいます。このような共有著作権は、著作権法の中で、民法の一般原則とは違った特別な取り扱いがいくつか規定されています。
ここでは、以下の点について簡単に解説します。
共有著作権の各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができません(65条1項)。例えば、当該イラストについて、あなたと食品会社で2分の1ずつの持分と定めた場合に、何らかの事情ができてあなたが自己の持分であるその1/2の権利を誰かに売り渡す場合には、あなたは、食品会社の「同意」を取り付ける必要があります。
また、例えば、当該イラストがキャラクターとして人気になり、その二次利用を欲する第三者と利用契約を結ぶことになりました。この場合、共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができないと規定されているため(65条2項)、あなた又は食品会社のどちらかが単独で当該第三者と利用許諾契約を結ぶことはできません(他の共有著作者を無視して単独で契約を結べば、他の共有者の持分権を侵害することになります)。
第三者が当該イラストをあなた又は食品会社に無断で利用した場合は、あなただけでも侵害者に対して法的措置(差止請求,損害賠償請求)を取ることが可能です(法117条2項参照)。
なお、以上のような共有著作権が生じた場合でも、「著作者人格権」については、あなたと食品会社の「共有」になることはありません(当該イラストの著作者人格権はあなただけが保有したままです)。