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著作権Q&A

{Q} 他人の作品をパロディにした場合、著作権の侵害に当たりますか?同人誌などで見かける、いわゆる「二次創作」はどうですか?

A ご質問の「パロディー」や「二次創作」の意味合い(定義)にも関係してきますが、一般的に用いられている「パロディー」(世間によく知られた作品の特徴を残しながら内容を変えて滑稽化・諷刺化すること)や「二次創作」(による改変)は、それが権利者に無断で行われる場合には、当該他人の著作物の同一性保持権(201)又は翻案権(27)の侵害に当たる場合が多いと解されます。


この点、適法引用に関する規定(32条)の類推適用や著作権者の黙示の許諾(著作権者が黙認している場合)などにより、パロディや二次創作であっても適法となる場合があるとの見解もあるようですが、日本では、常にそのような解釈を期待して安易に他人の作品のパロディーや二次創作を行うのは危険です。現状では、あくまで侵害になるのが原則です。
なお、アメリカでは、パロディーは、「フェア・ユース」(公正利用。連邦著作権法107条参照)の射程範囲に入る(つまり、一般大衆の自由利用が可能)との伝統的な考え方があり、商業的なパロディもあってもなおフェア・ユースになり得ると認定した最高裁のケース(Campbell v. Acuff-Rose Music (92-1292), 510 U.S. 569 (1994))もあります。

(参考)
他人の有名な写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行したことについて争われた事例で、以下のように判示した原審に対して、最高裁(昭和55328日最高裁判所第三小法廷[昭和51()923])は、下記のように述べています。
《原審》
「本件モンタージユ写真の作成はその目的が本件写真を批判し世相を風刺することにあつたためその作成には本件写真の一部を引用することが必要であり、かつ、前記のような引用の仕方が美術上の表現形式として今日社会的に受けいれられているフオト・モンタージユの技法に従つたものとして客観的に正当視されるものであつたから、他人の著作物の自由利用として許されるべきものと考えられ、右引用にあたり本件写真の一部が改変されたことも、本件モンタージユ写真作成の右目的からみて必要かつ妥当なものであつたということができ、原著作者たる上告人の受忍すべき限度を超えるものとは考えられないから、その同一性保持権を侵害するものとはいえず、したがつて、被上告人の前記本件写真の利用は右規定にいう「正当ノ範囲」を逸脱するものではない」
《最高裁》
「自己の著作物を創作するにあたり、他人の著作物を素材として利用することは勿論許されないことではないが、右他人の許諾なくして利用をすることが許されるのは、他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴をそれ自体として直接感得させないような態様においてこれを利用する場合に限られるのであり、したがつて、上告人の同意がない限り、本件モンタージユ写真の作成にあたりなされた本件写真の前記改変利用をもつて正当とすることはできないし、また、例えば、本件写真部分とスノータイヤの写真とを合成した奇抜な表現形式の点に着目して本件モンタージユ写真に創作性を肯定し、本件モンタージユ写真を一個の著作物であるとみることができるとしても、本件モンタージユ写真のなかに本件写真の表現形式における本質的な特徴を直接感得することができること前記のとおりである以上、本件モンタージユ写真は本件写真をその表現形式に改変を加えて利用するものであつて、本件写真の同一性を害するものであるとするに妨げないものである。」