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著作権Q&A

{Q} 最近亡くなった私の母は、生前小説を書いていました。母の作品の1つが無断でネット上に掲載されていることを知りました。私は、侵害者に対して何らかの措置を取ることができますか?

A 特別の事情がなければ、あなたは、現に著作権を侵害している者に対しては、当該侵害行為の差止(停止)(1121)、すでに行われた侵害行為に対しては、一定要件の下で、損害賠償を請求することが可能です(民法709)。また、一定要件の下で、不当利得の返還を請求することが可能です(民法703)

著作権は、原則として、著作者の死後70年を経過するまでの間存続します(512)ので、例えば、生前にあなたのお母様が他人に当該小説の著作権を譲渡していたとか、遺産分割の際に当該著作権があなた以外の遺族に相続されていたなどの事情がない限り、あなたは当該著作権を相続しているものと考えられます。したがって、あなたは正当な著作権者として、上述した差止請求や損害賠償等の請求をすることが可能です。かりに、あなた以外に相続人がいて、当該著作権が相続人の「共有」になっている場合でも、あなたは、単独で、つまり、他の共有者(著作権者)の同意を得ないで、差止請求や自己の持分に対する損害賠償の請求又は自己の持分に応じた不当利得の返還請求をすることができます(117)
なお、著作権侵害罪 (1191)ついては、原則として、告訴がなければ公訴を提起することができない(つまり、親告罪)とされていますが(1231)、あなたは、「犯罪により害を被った者」として刑事告訴をすることも可能です(刑事訴訟法230条参照)