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著作権Q&A

{Q}「著作権者不明等の場合の裁定制度」とは、どのような制度ですか?

A 著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができない場合に、文化庁長官が定める額の補償金の供託を条件として、裁定に係る利用方法により著作物の利用を認める制度です。

他人の著作物や実演(歌手の歌唱やバンドの演奏,俳優の演技など),レコード(CD等),放送又は有線放送を利用する場合(出版やDVD販売,インターネット配信などを行う場合)には,原則として,著作権者又は著作隣接権者の許諾を得ることが必要になります。しかし,他人の著作物等の利用を欲する者において権利者の許諾を得ようとしても,「その権利者が誰なのかわからない」,「(権利者が誰なのかはわかっているが)その権利者がどこにいるのかわからない」,「亡くなった権利者の相続人が誰なのか、どこにいるのか不明だ」などといった事情で利用の許諾を得ることができない場合があります。このような場合に,適法に著作物を利用する道を開くために、正当な権利者の許諾に代わって文化庁長官の裁定を受けて,通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより,著作物の利用の適法化を図る制度が設けられました。これが「著作権者不明等の場合の裁定制度」です(著作権法67条~70条)

本制度の対象となるのは、権利者若しくは権利者の許諾を得た者により公表(34条参照)され,又は相当期間にわたり公衆に提供・提示されている事実が明らかである著作物(例えば童謡など),実演,レコード,放送,有線放送です(671項,103条)。

上記のような裁定を受けようとする者は、一定の事項を記載した申請書に、著作権者と連絡することができないことを疎明する資料その他を添えて、文化庁長官に提出しなければなりません(673)