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著作権Q&A
{Q} 「(裁定)申請中利用制度」とは、どんな制度ですか?
A 裁定(67条1項)の申請をした者が、文化庁長官が定める額の担保金を供託した場合には、裁定又は裁定をしない処分を受けるまでの間、当該申請に係る利用方法と同一の方法により、当該申請に係る著作物を利用できる制度のことです(67条の2・1項)。
この制度を活用することで、裁定結果を待たずに、当該著作物を開始できるメリットがあります。すなわち、著作者不明等の著作物の利用をできるだけ早期に希望する場合で、裁定結果(標準処理期間は概ね2~3か月)が出るのを待っていられない事情があるときに、裁定申請の際に、申請中利用「有り」と申請して、文化庁長官が定めた額の担保金**(1)を供託することで、裁定結果を待たずに、当該著作物を開始できることになります**(2)。こうしたメリットから,現在,ほぼ全ての(裁定)申請で申請中利用制度が活用されています。
**(1)「担保金」は、「補償金」そのものではなく、あくまで将来の補償金支払いのための担保という性格のものです。その額は、申請された利用方法に対応して想定される補償金の額に不足が生じないように文化庁長官が定める額となります。
**(2)文化庁の解説では、「申請中利用制度では,仮申請から担保金の通知までに目安として3週間の期間を要します。担保金の通知後,直ちに担保金を供託した場合には,仮申請から3週間で利用を開始することができます。」とあります。
もっとも、申請中利用制度は、あくまで裁定を受けることを前提としてそれまでの間の暫定的な期間の利用を認める制度であるため、最終的に裁定が認められなかった(裁定をしない処分を受けた)ときには、その時点で、当該著作物の利用を中止しなければなりません。