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著作権Q&A

{Q} 俳優としてある映画で出演しました。私の実演(演技)に関して、著作隣接権は私にあるのですか?

A その映画の中で実際に演技(実演)を披露したあなたに、当該演技に関する著作隣接権が発生していますが、その映画の増製プリントを作成したり、その映画の二次利用(DVD化やテレビ放送、ネット配信など)の場面のほとんどで、あなたの著作隣接権は働かないと考えてください。

俳優(実演家)であるあなたは、自己の演技(実演)について、著作隣接権(録音権・録画権、放送権・有線放送権、送信可能化権、譲渡権等)を有していますが、いわゆる「ワンチャンス主義」の考え方(ローマ条約19)の下、ひとたび実演家の了解(許諾)を得て実演(演技)が映画に録音録画されると、以後はその映画(実演)の利用については原則として著作隣接権が働かないことになっています(912項、922項、92条の22項等)。このような例外的な制度が設けられた趣旨は、多数の実演家が出演する映画についてその利用の円滑化を図るためと言われています。したがって、映画の出演する実演家が自分の正当な利益を確保するためには、映画製作者との最初に交渉段階で(映画への出演を了解する際に)、出演契約書に、その後の映画の二次利用を見込んだ、追加の報酬等に関する条項を取り決めて、落とし込んでおくことが重要になります。